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「ねーね、知ってる? また出たんだって。今度は3組の渡辺が見たらしいよ。髪の長い女の幽霊」
「うっそー、まじで?」
「やっぱあそこってほんものなんじゃないの?」
「この前もさぁ、4組の子が見たって言ってなかった?女の幽霊」
教室のど真ん中でクラスメート達が奇声に近い声をあげながら、愉しそうに話すのを聞いて、真綿はため息をついた。
朝から教室はこの話題で持ち切りだ。
口を開けば、誰もかれもが、あの時は誰々が髪の長い女の幽霊を見たとか、そういえばこの前も、誰もいないはずの窓に人影が映っていたとか、噂が噂を呼んでどんどん話が大きくなっていく。
そんなクラスメートに真綿は一人、冷ややかな視線をなげる。
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