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「行こう」
綾菜に手を引かれ、真綿は一歩を歩き出した。
心がうきうき踊るような楽しみが湧いてくる。
「うん」
綾菜に頷きかえして、二人は顔を見合わせて微笑む。
真綿は夢心地でダンスフロアへと向かう。
きらびやかな光りに囲まれた自分。
まるでドラマの主人公のようだ。
「お姉ちゃん、いっちゃ駄目」
綾菜と手を繋いだ反対側の手に、滑り込んでくる小さな手の感触がして、真綿は振り返った。
小さな手が真綿に延びている。
「お姉ちゃん、呪い殺されるよ」
里奈の光の灯らない2つの眼に見つめられて、ぞくっと悪寒が駆け上がってくる。
「お姉ちゃんもみんなと一緒になっちゃうよ」」
ぎゅっと握りしめられた手が、気持ち悪いほど冷たい。
その冷たさが、真綿に現実を思い出させる。
違う!
こんな場所じゃなかった。
あたし達が来たのはお化け屋敷だ。
真綿が、そう思い返した瞬間、光が消えた。
一瞬にして音楽が止まり、眩しかった辺りが暗闇へと急速に戻る。
後には静まり帰った静寂と、老朽化した屋敷だけが残された。
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