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「ナオくん、遅い!!」
「悪い、悪い!近道しようと思ったら、道に迷っちゃってさ~。ほら、買ってきたぞ。」
「わーい!」
ナオキが宿に戻ると、一階の談話スペースにはアークとシンとジェノしかいなかった。シンとジェノは嬉しそうに土産の包みを開けている。ナオキはジャケットを脱いで、アークの隣に座った。
「あれ、セリとティーゼは?」
「もう休んだよ。今日はいろいろあったからな。」
アークはナオキに、お前も飲むか?とマグカップを渡した。良い香りがするので何かと尋ねると、この街の特産品のお茶らしい。
薬草を使っていて疲れに効くからと、宿の人がくれたのだという。
ナオキは礼を言って美味しそうに飲む。するとシンが土産を片手にアークの隣に座った。続いてジェノもやってくる。
「アークさん、俺も飲む~!」
「シン、ずるいぞ!俺も飲む!!」
「分かったから騒ぐなコラ。ほれ、マグカップよこせ。」
「わーい!」
「サンキューじぃさん!」
「じぃさん言うんじゃねーっ!!」
俺達は夜遅くまで騒いだ。セリとティーゼも起きて来て、みんなではしゃいだ。
楽しかった。
幸せだった。
それが 最後の夜だったんだ。
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