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(魔女……? ってあの魔女……だよね?
ホウキで空飛んだりするって言う……)
太郎は頭の中の辞書をめくり、魔女という言葉の意味を模索する。
「魔女はいりません……か?」
ただその姿は傍から見ると、無言で一点を見つめているだけ。
他人にとっては不審なものでしかない。
この少女にとってもそうだったようで、太郎の様子を伺うかのように顔を覗き込みそう尋ねた。
だが、この男、無反応。
「いりますか?」
少女は再び質問する。
先程よりもさらに、控えめに。
すると太郎の思考も幾分か回復したようで、今度は反応があった。
「え? あ、いやー……」
魔女はいらないかな――。
そう言おうとした太郎だったが、この先は言うことが出来なかった。
何故なら、
「もう3日間も何も食べてないんです!!
お願いします!! 何でもするんで、一週間泊めてください!!」
という悲鳴にも聞こえる少女の声に阻まれたからである。
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