第1話:空を飛んでみよう(前編)

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(魔女……? ってあの魔女……だよね? ホウキで空飛んだりするって言う……) 太郎は頭の中の辞書をめくり、魔女という言葉の意味を模索する。 「魔女はいりません……か?」 ただその姿は傍から見ると、無言で一点を見つめているだけ。 他人にとっては不審なものでしかない。 この少女にとってもそうだったようで、太郎の様子を伺うかのように顔を覗き込みそう尋ねた。 だが、この男、無反応。 「いりますか?」 少女は再び質問する。 先程よりもさらに、控えめに。 すると太郎の思考も幾分か回復したようで、今度は反応があった。 「え? あ、いやー……」 魔女はいらないかな――。 そう言おうとした太郎だったが、この先は言うことが出来なかった。 何故なら、 「もう3日間も何も食べてないんです!! お願いします!! 何でもするんで、一週間泊めてください!!」 という悲鳴にも聞こえる少女の声に阻まれたからである。
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