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そんな静かな城の中でも特に静かな場所……王の間。
部屋の名前から想像出来るように、普段はこの国の王が数人の兵士と居る部屋である。
しかし、今この部屋に兵士は居らず、居るのは15~17歳ほどの少年とやや小柄な少女、そして大柄の男――王だけである。
「太郎」
王は少年に向かって体の大きさにあった低い声で話しかける。
「はい」
太郎と呼ばれた少年は王の呼びかけに反応し、答える。
「答えは決まったか?」
王は太郎に向かって再び口を開く。
すると今までやや下の方を見ていた少女は、一体どうするのだろうという表情で太郎の顔を見た。
「はい」
短い――しかし力強い返事が王の耳に届いた。
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