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とても賑やかな魔法都市から少し離れた草原……。
その草原の名は緑畑草原と言い、いつでも緑で覆われている、とても広大な草原。
そして、その真ん中には木で造られたプレハブの様な小さい家が建っている。
その家は、今では魔法都市でさえ見る事が少なくなった煙突が付いていたりするなど、少し古めの家だ。
ちなみに、この家は草原でただ一人住んでいる少年の家である。
「何もないと暇だね」
そして今呟いたのは、そのプレハブの様な家に一人だけで住んでいる少年――太郎だ。
そして今その太郎の手には、ホウキ――といっても、掃除道具入れの中に入っているような形状の物ではなく、魔女とかが跨って飛ぶために使うような形のホウキが握られている。
何故そんな物が彼の手に握られているのかというと、それは勿論、掃除をするためなのであろう。
「いや~魔法って面白いよね~。ワイヤー無しで空が飛べるんだから。
良いよな~魔法使いって」
太郎は誰もいないのに、誰かとしゃべっているような雰囲気を醸し出している。
……いや、出そうと頑張っているようだ。
そしてしばらくの間そんな呟きを繰り返すだけで、一切手は動かされていない。
この男、掃除をする気は全く無いようである。
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