第1話:空を飛んでみよう(前編)

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「マット置いといてよかったぁ……」 やっと出た第一声がこれ。 どうやら腰を強く打ったよう。 手で押さえながら立ち上がる。 (一応飛べたけどやっぱりホウキで飛びたいよね。どうやったらいいんだろう……。 とりあえず家に帰ってから考えよう……) そう思い、太郎は家へと歩を進める。 といっても痛みを我慢しながらなのでとてもゆっくりだが。 家の中に入ると早速太郎は考え始める。が、いくら考えても答えは出てこない。 数分間太郎が思考を巡らせていると、ふいに家の扉が何者かに叩かれる。 しかし太郎は、普段人が訪ねて来る事など無いので、風か何かだろうと思い行動を起こそうとはしない。 だがしばらくすると、先程よりやや強く、風では到底鳴らせない音が太郎の耳に入る。 (人?) 音の正体を不審に思いつつ、太郎は扉に手をかける。 「はいはーい」 そしてゆっくりと、その正体を確かめるように扉を押し開く。 扉を開けるとそこには、少女が立っていた。といってもローブを着、そしてフードを頭に被っているので、本当に少女なのかは少し疑問であるが。ここはやはり体型で判断すべきなのだろうか。 それにしてもこの格好はまるで……。 「魔女はいりませんかー」 そう、魔女のような格好。 「は?」 まさか、家に魔女が訪ねてくるなんて――。 驚きが、隠せない。
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