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流浪の神
―――――――――――――――
東に日が昇り ヘリオスが金の
馬車を率い空を駆け抜けてゆく
鳥の囀りが響き始め 風も吹き
地を巡る
何事も無き静かな朝に
明らかに異様な者は居た
黒き水晶が安置された
忘れ去られた廃屋の教会
蔦が這い 草木が道を覆い
不気味なその教会に
黒き肌 黒き髪 黒き瞳 黒き――
―――黒き 邪な気配
空は晴天 雲すら無い
町は今日も争いもなく
その場所だけが 不穏な空気
黒き人物 その身には法衣
黒き人物 その姿は神父
―――ブナノ森ノ葉隠レニ
宴ホガイ賑ワシヤ
松明赤ク照ラシツツ……―――
日が西へ沈み エオスが馬車を
そしてすぐに セレネが銀の
馬車を率いる
ブナの森の葉隠れに
廃屋となった教会で
人が集まり 宴が始まる
そして夜が明けまた
ヘリオスが馬車を率いる時
彼は流離う 流浪する
東の空が白くなる
それを見たなら 支度をしよう
ニイルの水は何処だろう
何処行くか 流浪の神
何処行くか 流浪の神
流浪の 神
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