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猫「ニャ~」
叶「ニャ~」
癒「…………」
霧代癒多(17歳/♂)は現在頭の中で恐ろしいほど手強い己の理性と壮絶な闘いを繰り広げ、そして苦戦していた。
猫「ニャア~ン」
叶「ニャア~ン」
道の端にしゃがんで猫と会話する(してるかわからない)天宮叶琉(16歳/♂)を鼻を掌で抑えながら見守る癒多。
癒(ヤベェ…なんだこの可愛い生き物!!)
癒多様そろそろ限界のようです。
叶「あっ」
癒「!?」
猫がいきなり癒多の元へ走り寄り、その足にすりすりと頬擦りしだした。
猫「ニャ~」
癒「ちょ…おいコラ、やめろ」
移動して距離をおくも、すぐに猫は追いかけてきて頬擦りする。
どうやら気に入られたご様子で。
癒「…んだよチクショ。……?どした、カナ?」
はぁ、とため息をついていると、クイクイっと叶琉が癒多のズホンの裾を引っ張った。
顔をあげた叶琉は癒多に向かって満面の笑みで。
叶「にゃにゃん♪」
と鳴いた。
実際は「こうやって話すんだよ」と言いたかったらしい。
ただでさえ理性に負けそうだったのに、叶琉のこの行動のせいで癒多は今完全に…敗北した。
チンチンチンッ YOU LOST
ガシッ
叶「ふぇ?」
頭を捕まれて無理矢理立たされる叶琉。
癒「お前のせいだかんな」
ひょいっ
叶琉を肩に担ぎあげる癒多。
叶「わっ、ちょっ……癒多!?」
ダダダダダ………
喋らず走り出す癒多に内心パニック状態の叶琉。
叶「いっ、いったい何なのさ――――!!!!」
夕方の住宅地に響き渡る悲鳴。
しかしそれを聞いたのはほんの僅かな人と、ポカーンと空を見上げる猫だけだった。
Fin.
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