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キィィイ
錆ついた扉、イヤな音が響く。
すうっと舞う、爽やかな風。フェンスに近づくと、私の身長より一、二メートル高い荒いフェンスがある。
「あおいそら」
フェンスを握り、冬の寒い空を見上げた。フェンス越しに見る空は、教室で見るより、澄んで見えた。肌寒さが心地いい。頭をすっきりさせてくれる。自然と笑顔になった。
「ユキコ?」
ガシャン
思い切りフェンスを握った。聞くだけで全身が痛む声……高瀬くんの、声。
「久しぶりだね」
トントンと近づいてくる音に合わせるように、フェンスが手に食い込んだ。
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