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――高瀬くんの声
「久しぶりだなぁ」
トントンと近づいてくる、恐怖。フェンスが手にくい込む。
「なぁ、ユキコ」
柔らかな声、でもそれは表面の声。
「お前電話もメールもシカトするから、寂しかった」
私の肩に重い手が乗る。涙が出そう。怖くて、怖くて。
「おい、こっち向けって」
乱雑に私を振り向かせる高瀬くん。
「お前、オレをイラつかせんなよ」
ぎゅっと肩を掴まれる。箸が落ちる。何度かバウンドして……おとなしくなる。
――痛い……
ギシギシと、身体に心によみがえるあの思い出。今も残る傷あと。
「……ぁ」
あふれ出す、いろいろなもの。
「林サン?」
妙に能天気な声が響いた。
「こんなところで会えるなんて……やっぱり運命?」
ズダズダズダ
どんどん近づいてくる三橋くん。
「……三橋、」
高瀬くんの表情が強ばった。私の肩を掴む力が倍増する。
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