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「ねぇ、本当に何もないの?」
「うん。佐倉とはただの幼なじみなだけだよ」
「ふーん……」
なんとなく納得のいかなそうに菜奈はつぶやくと、オレンジと赤のグラデーションがきれいなカクテルに口をつける。
菜奈には、男関係でいろいろ迷惑をかけているので黙っていることにした。
それに、彼とこれからも会うことも連絡を交換した手前ありそうだし、そうなった時気まずくなるのも嫌だったから……。
けれど、時期をみてそのうち話そうとは思っている。
菜奈はこっちにきてはじめてできた、大事な友達だから。
普段は少しだけ強引なところもあるけど、私が言いたくないことは無理に聞こうとはしないし、いろんな場面で気遣い助けてくれる。
元気のない時は飲みに連れて行ってくれたり、笑わかせてくれたり……
明るい彼女と一緒にいると、私はいつも笑顔でいられるし、安心できる。
なんとなく、そういうところは佐倉と似ているかもしれない。
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