†02† 過去と今と

7/9
前へ
/73ページ
次へ
ふぅと一息吐くと、私は目の前にあるグラスを見つめた。 いつか見た海みたいに真っ青で透き通っている。 あの人のことを、少しだけ思い出した。 私は、思い出を振り払うようにそれを一口飲みこむ。 口の中いっぱいに広がる独特の甘みが、体を少しずつ火照らす。 このまま全部全部考えられなくなれば、どんなに楽だろう……。 ふと、よぎる思いに足をすくわれそうだ。 飲み過ぎないようにしないと。 そういえば、佐倉はどうして今更……? あのメールを読んだはずだろうに。 まぁ、いいか。 考えたって仕方ない。 私は新しい飲み物を注文する。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

781人が本棚に入れています
本棚に追加