781人が本棚に入れています
本棚に追加
ふぅと一息吐くと、私は目の前にあるグラスを見つめた。
いつか見た海みたいに真っ青で透き通っている。
あの人のことを、少しだけ思い出した。
私は、思い出を振り払うようにそれを一口飲みこむ。
口の中いっぱいに広がる独特の甘みが、体を少しずつ火照らす。
このまま全部全部考えられなくなれば、どんなに楽だろう……。
ふと、よぎる思いに足をすくわれそうだ。
飲み過ぎないようにしないと。
そういえば、佐倉はどうして今更……?
あのメールを読んだはずだろうに。
まぁ、いいか。
考えたって仕方ない。
私は新しい飲み物を注文する。
最初のコメントを投稿しよう!