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「あぁ、この子は……」
言いかけて、菜奈の方を見る。
あれ、なんか心なし目がきらきらしてないか……?
「超かっこいい~!!」
「はは、ありがとうございます♪」
爽やかな笑みを浮かべ、彼は答える。
そうだ、菜奈は面食いだった……。確かに、彼女の好みそうな顔をしているけれど。
そんな目してたら、彼氏の晃くんが泣くぞ……。
私は少し呆れながら、ため息をつく。
「ねぇねぇ!彩とどういう関係なの?」
「えっと、幼なじみ……?」
「なんで疑問系なんですか、千鶴さん」
「ていうか、前の会社の後輩ね」
「佐倉修一って言います。千鶴さんとは、一個違いです」
「年下くんかぁ!わー見れば見るほどイケメン!
私は彩の友達の有川菜奈でーす♪よろしくね!」
「かわいい人ですね、よろしくお願いします」
「やだぁ、修一くんたら♪」
菜奈はにやけながら、彼と話す。さっきのことがなかったかのように、上機嫌だ。
「あ、そうだ。千鶴さん、携帯替えました?」
いきなり話を振られて、私は思わず慌ててしまった。
「う、うん。去年ね」
「なんか繋がらなくなってたから、心配したんですよ。なんで教えてくれなかったんですか?」
なんでって……、教えないつもりで替えたんだから当たり前なんだけど。
「修一くん、彩の番号わからないの?なら、菜奈が教えてあげるー!」
「ちょっと、菜奈!」
「え、ダメなの?」
「ダメ……じゃないけど……」
「ならいいじゃん!ほら、修一くん携帯携帯!」
菜奈は赤外線で私のデータを彼に送る。
「菜奈のも送っちゃった♪」
「こらこら!あんた、晃くんがいるでしょうが!」
「大丈夫大丈夫!あっくんは、友達付き合いは気にしないし。それに彩の知り合いなら心配もないじゃない!」
「まぁ、そうだけど……」
「なら、千鶴さん。あとで連絡しますね」
「……うん、わかった」
「そうだ!修一くんも、一緒に飲みに行かない?」
「ちょっと!菜奈!」
「すみません。行きたいんですけど、明日仕事が早いんで……また今度にでも」
「そっかーなら、今度呼ぶから。ねっ!彩!」
「はい、よろしくお願いします。じゃあまた。気をつけてくださいね」
「はーい♪」
「うん、佐倉も気をつけてね」
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