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「着いたわ。ここが私達の家よ」
あれから車で45分。これからの暮らしとかの説明を受けているうちに、いつの間にか目的地に着いていた。
一般的な家よりも少し大きな家を見て考える。
…今まで住んでいた家の何倍あるんだ?と。
さすが美人社長。
…ん?
「あの黒崎さん、私達ってどういう事ですか?」
俺がそう質問すると黒崎さんは何故か不機嫌そうな顔をした。
「私の事は『黒崎さん』じゃなくて、『お母さん』って呼びなさい」
「え…いや…あの…
正直、初対面の綺麗な女性をいきなり母さんと呼ぶのは抵……ブッ!」
視界が何かに遮られ、押し付けられた。
頭に感じるとてつもなく柔らかな二つの感覚から、自分が抱き締められているということを理解した。
…柔くぇ~…。
「なんて可愛い子なの!?
私が綺麗って…きゃー!」
そんな俺の下心など全く知らない黒崎さんが言う。
…今なら迷わず成仏できる気がするぜ。
「…でも、いつまでも他人行儀じゃ寂しいじゃない?
いつか私をお母さんと呼んでね?
後、私達っていうのは見ればわかるわ」
そう言ってそっと離した黒崎さんは優しい笑顔を俺に向けた。
家の鍵を開ける黒崎さ…母さ……綾音さんのぬくもりに触れ、少し涙が出そうになった。
ガチャガチャ…ガチャン
「ようこそ、
我が黒崎家へ!!」
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