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「おまえ…」
そう呟きながら、男は私の頭に手を置いて髪を乱した。何をしているかも、相手と自分の立場もわかっていたので抵抗はしない。
「やっぱり、人間か」
そう、目の前にいる角の男は魔族。自分はただの人間。一番単純な見分け方は角があるか無いか、なのだ。
「はい…」
「女だな」
「はい…」
「どうやってここに入った?」
「わかりません…気がついたらここに…」
そうだ。目の前に夢中になっていたが、自分は今の状況さえも理解できていない。気がついたらこの白銀の世界にいたのだ。だってさっきまで私は…
「最後はどこにいたんだ?」
「……」
「…ふむ、困ったな」
思い出せない。ここ暫くは…いや、何をしていたのだろう?もの凄く長い時間眠っていたような錯覚に陥る。
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