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「そこを動くな。」
少年が静かに言う。
───いや、こんだけ太い縄で縛られて動けるわけないから…。私は心の中で呟く。
とりあえず口をぎゅっと閉じる。
いつの間にか涙が止まっていた。
「俺は未来からやってきた。あと、俺はお腹が空いた。飯を持ってこい。」
──はぁ!!!?なんなの、こいつ。未来とか、ご飯とか、バカじゃないの!!?
「…あなた泥棒なの…?」
ようやく私は口を開いた。目の前にいる少年から殺気が感じられない。
「いや。俺が言いたいことはこんなことじゃない。」
少年は真顔から焦っている表情に変わった。
「…ご飯なら一階にあるわ。」
私は下を指差す。
「だから泥棒じゃない。殺人しに来たわけでもないんだ。あなたを助けに来た!」
なんと今度は少年の目から今度は涙が出ている。
……なんか、こいつ頭悪い…?
ていうか、おかしい。少年がここにいる目的が全く見えてこない。
ちょっとイライラしてきた。もうさっきのような緊張はない。
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