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「お…親父!
今まで言えなかったこと全部言うよ……」
声を震わしてタクヤが言った。
「母さんが死んでから…毎日働いてたよな…休んだことねぇ。
でも…やっぱり休みって必要…だよ。」
おじさんはタクヤを無視した。
「あと…さ、オレ…親父といっぱい思い出作りたいんだよ!!!!
母さんは死んだ!
けどいなくなったわけじゃねぇだろ!?
オレ達の心の中にいるだろ!?
なぁ!?」
おじさんの手が止まった。
「いつまでも引きずってんじゃねえよ!!
親父だけが悲しいと思ってたか!?
違う!!オレだって悲しかった……でも…悲しんでる親父を見る方がオレは悲しかった!!
前みたいに元気よくラーメン作ってくれよ!!」
タクヤが徐々に大きな声をだす。
おじさんの目に涙がちらっと見えた。
「過去の思い出よりこれから作っていく思い出の方が多いんだ!!!!
あと……ずっと言えなかったけど…」
もう少しだ、と私は思った。
「この店の後を継ぎたいんだ!」
今までタクヤが一番隠しておきたかったこと。
「ラーメン屋の後を継ぐ」…これは店長を喜ばせるためにタクヤはずっと口に出していなかった。
「──俺…前の元気な親父に戻ってほしい!!!
大好きなんだ…親父のことが!!!」
タクヤがおじさんを抱き締めた。
そのとき───
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