第五章:黒い羽根

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「お名前は何とおっしゃるのかしら?」 お姉ちゃんがキッチンでお茶の用意をしながら大地に聞く。 「桜庭大地です…。」 大地が小さな声で言う。少し緊張しているようだ。私は大地の横に座って笑いをこらえていた。 「大地君…あなた、どこかすごく遠くから来た感じがするのだけれど…。」 お姉ちゃんの鋭い直感はここでも発揮される。 「え!?あー…まぁ…そうですかね?」 大地は動揺した。 お姉ちゃんはそれ以上何も聞こうとせず美味しいティーとクッキーを出してくれた。 『ピンポーン』 インターホンが鳴る。 「はーい!!!!あ、新聞の料金支払いですか?…二人で食べていてね。」 お姉ちゃんがお財布を持って玄関に行った。 「さすがタイプAだ…。」 大地が独り言のように言う。 「タイプAって何?お姉ちゃんは『しずく』っていう名前よ。」 「なぁ。美佳あの羽根一枚貸して。」 大地が手を出す。 私は大地にあの羽根を渡した。 何に使うのだろう? お姉ちゃんが戻ってきた。
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