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「ただいま~。今ご飯の準備するわね…あれ!しずくのお友達?」
母は仕事帰りに買い物に寄ったらしい。パンパンの買い物袋を両手いっぱいに持っていた。
「ううん。私の友達だけど。」
「お邪魔します!」
大地が頭を下げる。
「えぇ!?美佳が!?」
母は驚いていた。私は例え仲の良い友達がいても家に招いたことがなかった。
「でも…娘二人なのに…男の子がいるなんて…。ちょっと危ないんじゃ…。」
母は不安そうだったがお姉ちゃんがその言葉を遮るように言った。
「大地君は大丈夫よ。そんな人に感じられないわ。ところでお母さん、お願いがあるの。」
「そう…しずくがそう思うならいいわ……お願いって何?」
母が聞き返す。
お姉ちゃんが真面目な顔をしているので私は後で言えばいいのに、と思った。こういうときのお姉ちゃんは話が長い。
「大地君をこの家に泊まらせてあげて。彼、両親を亡くして遠い所から泊まらせてもらう家を捜しに来ているの。」
私はびっくりしすぎて食べようとしたクッキーを落としてしまった。
しかも大地はお茶をおもいっきりこぼし食べかけのクッキーも床に落としてしまっている。
「いや!いいですよ!本当に俺は…!」
「お母さん。お願いします。私、家の手伝いなんでもする。夕食も作る。この通りです…。」
お姉ちゃんが土下座をした。
こんな姿のお姉ちゃんは初めて見た…。
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