雨の音

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  不満なので(と言うか、暇なので)何度が往復してみよう、という事になった。 雨が強くなってきたのか、雨粒が車を叩く音がうるさくなってきた。   3,4往復ほどしただろうか、友人の1人が、「おい、もう帰ろう」と言い出した。 何も変わった事も起こらず、飽きてきたのだろう、と思った。 だが、何か声の調子がおかしかった。トンネルの出口が見えるあたりで一旦車を止め、後ろを振り向いた。 帰ろう、と言い出した友人は肩を縮め、寒さに震えるような格好をしている。 もう1人は、その様子を見てキョトンとしている。 「え、どうした?何か見えたのか?」と聞いたが、「いいから、とにかくここを出よう」と言う。 ”何か”を見たのか?期待と不安で動悸が激しくなってきた。 雨は一層酷くなり、ボンネットを叩く音が耳ざわりに感じる。 とにかく、一旦ここを出て、どこか落ち着ける場所を探す事にした。  
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