雨の音

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  国道沿いのファミレスに寄り、ようやく一息ついた。 夏も近い季節だというのに凍えるように震えていた友人も、ようやく落ち着いてきたようだ。 「なぁ、もう大丈夫だろ?何を見たんだよ」 「聞こえなかったのか?あれが」友人は怪訝そうな顔で僕達を見た。 妙な怪音の類か?それとも声?しかし、僕には心当たりはなかった。 もう1人の友人も、何が何やら、といった表情をしている。 「別になにも・・・まぁ、運転してたし、雨もうるさかったしなぁ。」 「聞こえてたじゃんか!」いきなり声を張り上げられて、驚いた。 深夜なのでファミレスにはほとんど人はいなかったが、バイトの店員が目を丸くしてこちらを振り向いた。 しかし、彼がなにを言っているのか理解できない。 「何が聞こえてたって?はっきり言ってよ」 気恥ずかしさと苛立ちもあって、少し強い口調で言ってしまった。 しばらく重い沈黙が続いたあと、彼が口を開いた。  
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