乳母車の看護婦

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  しばらくすると、看護婦はトイレの中に入ってきて、右から順番に「コンコン」とドアをノックし、「ギィィィィ」とゆっくりドアを開けては   「ここにはいない・・・」 と呟くのでした。 自分の個室に近くなるにつれ中学生の恐怖心は膨れ上がり、今にも失神しそうでした。   しかし、いざ左から二番目の個室の番になると今まで起きていたことが夢であったかのように何の物音もしなくなりました。   ノックの音も乳母車の音もしないのです。   「助かった」と胸をなでおろした中学生でしたが恐怖心が完全に消えるわけもなく、もうしばらくトイレにいることにしました。  
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