第一章 回想

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
夕日を背に一人の男が佇む。 隣には一人の少年が――。 辺り一面橙に染まる草原が広がる。 ふと、後ろから一人の少女が駆けてくる。 「お兄ちゃ----ん!!」と声を上げながら黄金に輝く草原を横切ってきた。 しかし突然、地面にぽっかり口を開いた穴にはまって倒れてしまった。 アレンが駆け寄って助け起こすと 「大丈夫よ」と笑って答えた。擦り傷はできているが、たいした怪我ではなさそうだ。 「セリアは強いなぁ。」と誉めてやると 純粋な微笑を返してくる。 いつもと変わらない、平凡ながら幸福な夕暮れ―― 突如、大きな影と共に物凄い風圧が襲ってくる。 アレンは反射的に顔を庇うが、吹き飛ばされて背中を地面に強打した。 気付くとそこは家のベットの上 隣にはセリアが眠っている。 周りは見慣れた――机と本棚があるだけの――いつもの部屋だ。 夢だったのか...と呟き起き上がろうとするが、背中に激痛を覚えた。 すると突如、視界がぼやけ暗い闇だけが覆いかぶさってきた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!