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オロオロしていると、ピンポーンと軽快な音がする。二人は動かないので、子猫を抱いたまま玄関に向かう。
「おや」
「……」
「君は確か……遠野椿君だよね」
「はい」
扉を開けると、知らない人が立っていた。
そのまま動かないので、しばらく観察していると急に口を開いた。
「ここに、迷子の迷子の恋杜君と阿呆が来なかった?」
「恋杜なら、いますけど……」
「因みに、阿呆はとっても阿呆な理事長だからね」
「あ、なら居ますよ!」
心なしか酷いことを言ってる二人。
「あ、僕の名前は佐木大和。三年だよ。因みに、副会長してるよ」
「みゃあ」
副会長の佐木さんが、握手しようとこちらに手を伸ばし、俺がそれにこたえようと手を伸ばしかけると子猫が一鳴き。
「………可愛いね」
「あ、はい」
「飼うのかい?」
「わかりません」
だって、寮はペット禁制って書いてたもん。
「椿!」
「恋杜、どうしたの?」
恋杜はいつの間にか後ろに立っていたらしい。
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