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ニカっと笑い出て行く彼女の背を僕は、どこか呆然と見つめていた。
車は、何時もの緩やかな坂道へと入っていた。
地下の駐車場に車を止め、自室にもどると玄関から良い香りが漂ってくる。
ニヤはテラスで育てた花をこうして、玄関やリビングに綺麗にいけて飾っていた。
今は去年植えた沈丁花の花が他の花と共にいけられていて、独創的ないけ方ではあるが丁寧に、そして、その可愛らしい組み合わせに僕は目を細めた。
「おかえりー……玄関でなにしてたんだよ?」
帰って来たのに何時までもリビングに入って来なかった僕に、ブランケットを体に巻きつけ窓際に寝転んでいたニヤが訝しげに尋ねてくる。
「君の新作を見せてもらってたんだ。 今回もとっても良いね」
「……テキトウにぶっさしてるだけ、んな大したもんじゃねーよ」
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