ノワール

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またあいつか。。   私が見上げるとすぐ横のバカでかい箱に空いた白い枠から、顔の毛が後ろにばかり無駄にある種族、人間と呼ばれる動物が顔を出していた。     『―――?ノワール♪』   ノワール あいつにとっての私の名前らしい。 人間の言葉はわからないが、会うたびに言われればさすがに理解する。   留まることのない私たちに名前なんて必要ないが・・・使わせてやろう。     しばらくそこにいると壁と箱の間の人間のなわばりにほのかに香ばしい匂いが降ってくる。 水分と生気が抜けた小魚!   草の上にばらまかれたそれらの匂いを嗅ぎ口に運ぶ。 顎でかみ砕く。かみ砕く。   数回繰り返し腹が膨れたときに背後から気配が。
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