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この時の私は、佐野先輩と急接近するなんて、思いもしなかった。
「去年のエトワールの男子、一年生で佐野先輩、選ばれてるもんね。容姿端麗、頭脳明晰、凄いよね。ねえ夏美、気になるんでしょ?」
エトワールは、白王学園のアイドル。いわゆるみんなの人気投票で決まるスターのことだ。
「そ、そこまでは……だって、カッコよ過ぎるよ。何か、自分と先輩を比べたら落ち込むもん」
「何ヘコんでんのよ!さあ、行くわよ」
由子ちゃんは、私の腕を掴んで立ち上がった。
「へ?行くってどこへ?」
「一緒に報道部に、入部する約束したでしょ」
あっ、忘れてた!どうしよ、プリンちょっとしか食べてないのにな。
「夏美、入部したら佐野先輩に、何時でも会えるわよ」
「えっ、佐野先輩もいるの!?わっ!ちょっ、ちょっと待ってよ!由子ちゃん、歩くの早いってば」
私は部室に着くまで、佐野先輩のことを考えて、すごくドキドキしていた。
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