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由子ちゃんと腰を低くして部室に入ると、新入部員らしき人達は、静かに先輩の話を聞いていた。
二人でそっと、後ろの席に辿り着く前に、ドジな私は、誰かの椅子に引っ掛かって、派手に転んでしまった。
(ううっ……痛いっ!嘘っ…!注目されてる!?)
「今入って来た、一年の二人!挨拶はどうした?遅れてきて一言も無しか?」
「一年の田仲です!説明会の時間に遅れて、すみませんでした!」
由子ちゃんは謝った後、私の手を引いて座ろうとした。
「もう一人、名前は?俺は二年の佐野だ」
佐野先輩が私に話し掛けてきた。何か顔が怖い。どうしよう。
「い、一年の安倍です。遅れてきて、すみませんでした」
あんまり目立ちたくないのに……恥ずかしいよ。逃げ出したいよ。
私は涙をこらえて、早く帰りたいと、そう思った。
佐野先輩は、カッコいいけど怖いよ。もう、部活なんて、どうでもいいよ。やめたいかも?
「やっぱ、由子ちゃん。私は帰る……」
「ちょ、ちょっと、夏美!?」
私は俯いて部室を後にした。
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