1.風のドラゴンと琥珀の妖精

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 森の木々は、ざわめき。黒い鳥が煙のように沸き立った。  樹海を守りし狼の長は、彼の前に現れてこう言った。 「若きドラゴンよ!お前はその羽で……その尾で、災いの種を呼び入れた! 災いの種はやがて、蔓を伸ばし……訪れるであろう。 我等は、我等の縄張りを守る! お前は……己自身の力で、お前の信じるモノを守るのだ。」 自分の信じるモノ?自分が守るモノ? それは何より。自分の命であると、ドラゴンは洞に入り肩をすくめた。  それからと言うもの。ドラゴンを仕留めて名を上げようとする男達が、深い樹海を掻き分け谷を下り……崖を登り、剣や斧を振りかざしてやってきた。  多くの者は道に迷い、狼達の餌食となり事切れた。 やがてその屍は……道標のように彼の住む山へと続き。谷は、多くの兵士の屍で埋め尽くされていった。  樹海は荒れ、死臭が漂い。ドラゴンの心も、暗く閉ざされてしまった。  吐き出す息は氷よりも冷たく、近寄る者を芯まで凍らせた。  鱗はまだ銀の輝きを失ってはいなかったが……長い尾の先には、所々赤い血の染みが付いていた。  今では風と遊ぶ事もせずに、洞の中から樹海の向こう側を睨んでいるばかりだ。
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