第一章 謎のチューナー

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3月も終わる頃、俺はダラダラと毎日を過ごしていた。 いつものように、街中をドライブしていたが、どうにもつまらない。そこで俺は、いつものコースを大きく外れて気分転換をすることにした。 「へぇー、この辺はウチの周りとずいぶん違うな、人の気配がまるでねぇや」 と呟いてみたが、独りなのでなんだか空しい。一度でもいいかキレイな女性を隣に乗せ楽しくおしゃべりしながら走ってみたいもんだ。 …嘘だけど。 「…おっと」 道路の左手にある小さな工場らしき所からタイヤが転がってきた。 とりあえず車を止め、タイヤを拾う。 「すいませーん、このタイヤ…おうっ!?」 目の前にいきなり人が現れたのでびっくりしてしまった。 「…すまないな」 その人は言う。 「いえいえお構いなく…ここって自動車工場なんですか?」 「お前は魚肉加工工場からタイヤが転がってくると思っているのか?」 「あ、いえ…」 つーか魚肉加工工場って、ずいぶんめんどくさい表現だな…好きなのかな、魚肉。
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