1428人が本棚に入れています
本棚に追加
「大切にして頂けるのは光栄ですが、付けて頂けなければアレに価値は無い。ただの鉄屑と変わりません。この指に輝かせてこそ価値が付くのです」
「い、以後気をつけるわ!くすぐったいからやめて!!」
きつく振り払うことをしないのは京を家に引き入れる時に、両親の安泰を意地悪く俺がちらつかせたせいだろう。
「もう外さないと約束して頂けるならば」
昨日新しく設えた指輪を薬指の先にかざしながら微笑む。
「――っ馬鹿!!またそんな無駄使いして!!」
新しい指輪に京の泣き出しそうな顔が映る。
他の女なら泣いて喜ぶのに上手くいかない。
特別なドレスも高価な宝石も甘美な言葉も京には無価値なもののようだ。
最初のコメントを投稿しよう!