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新しい癖のせいで切れた唇から垂れる赤い血を拭うと
「夜知なんて嫌い」
力無くぽつりと毒づかれた。
「知っていますよ」
それは痛いくらいに。
―――――コン。
短いノックの後いつも返事を待たないその人が無遠慮にドアを押し入った。
「夜知様。お時間にございます」
「五月蝿いですね。京さんが居る時には話しかけるなと言いましたが記憶に残りませんでしたか?」
「失礼いたしました。しかし、差し出がましいことを承知で申し上げますと京様にはお一人になられる時間がご必要かと……」
そんなこと分かってる。
もっと言えば京が俺の傍から離れたがっていることも理解している。
また京のポイントを稼ぐ気か。
この腐れ野郎め。
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