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「必要無いですね。1時間後に向かいますのでそれまで頼みます」
「…………はい」
「真(まこと)っ」
下がろうとした真の袖を京が掴む。
「き、京様っ?!」
慌てて青い顔になった真が京を振り払う。
「すみませんでした!失礼します!」
そう逃げ出した真が閉めたドアをせつない顔で見つめる京の目に手を当てる。
「な?!なによ馬鹿夜知!」
「いえ、何も」
ぎゅーっと抱きしめて何も気にしていないように言い放つ。
どうせ今の京を見たってちっとも嬉しくない。
それなら京が表情まで強がらないように気付いていないふりをして抱きめよう。
京の子供みたいに温かい体温が、まだ慰めになるから。
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