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京は真の態度に傷ついているのだろうけど、それは必要の無いことだ。
元恋人の真が俺の顔色を伺って京を避けているなんて、ひどく胸が軋むだろうけど
それでもそれは必要の無い痛みなんだ。
だってそれは、他でも無い京のためだから。
今はそれを気付かせる訳にはいかないけど、でも大丈夫だから。
大丈夫だから、どうか今以上傷つかないで。
ぎゅうっと抱き締める力が強まる。
「―――っ、夜知、苦しいから離して。逃げたりしないから。知ってるでしょ?」
「……それは京さんの性格を言っているのですか?それとも嫌み……?」
「どちらもよ」
倒産に追い込まれた父親の会社を救うために、京は俺のもとに来た。
多額の負債を抱える両親や、多くの行き場の無い従業員を守るために京は俺のもとに来た。
倒産に追い込んだのは俺なのに、だ。
まぁ、それを知ってたら俺の傍には二度と来ないだろうけど。
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