き た い

6/10
前へ
/225ページ
次へ
教室のドアに張り出された名簿でもう一度自分の名前を確認する。 再び名前を見つけて、ようやく教室に足を踏み入れた。 すると、そこではすでに席が近い子同士で「これからよろしくね」なんて会話がなされている真っ只中。 黒板に貼り出された座席表に目をやる。あたしの席はどうやらベランダ側の1番後ろの席らしい。 とりあえず席につき、荷物を置いて、周囲を見渡す。 隣の席の男の子。 初日にも関わらず寝ている。 前の席の女の子。 初日にも関わらず読書。 斜め前の席の女の子。 初日にも関わらず予習。 話せそうな子はいなかった。 ちょっぴりショックを受けつつ、まだ初日だし、これから時間はたっぷりあるんだから、と自分に言い聞かせた。 友達はゆっくり作っていけばいいよね。 焦ることもなく、ワクワクしながら入学式パンフレットに目を落とした。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6076人が本棚に入れています
本棚に追加