10ページのラプソディ ~とある一つの研究観察~

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 朝の日差し。  それは一日という時間をリセットする。  それは私も例外ではない。  新しい一日が始まる。  私の隣には昨日拾ってきた少年が猫のように眠っている。  それ以外はいつもの日常。  変哲の無いいつもの朝。  私はそろりと布団を抜け出す。  空からは灰色の雨が降り続いている。雲一つ無い晴れやかな空からは何万もの水玉が降注ぐ。空を覆う灰色の雨。全ての生き物を殺す、死の灰色の雨。  後で物音がした。  少年が起きたようだ。 「おはよう」  私の投げ掛けたこの言葉は伝わっただろうか。 「……」  返事は無い。  私の目の前で少年はその二本の足で立ち上がる。  その動作は緩慢で覚束無いものであったが、最後にはしっかりと大地を踏締めて立ち上がった。  玻璃の様な瑠璃色の瞳が私を捉える。  蒼白だった頬には紅が差し、瞳には光が差していた。 「元気になったみたいだね」 「……」  返事がない。 「ここは私の家。何か必要なものがあったら遠慮しないで私に言ってね」 「……」  返事は無いが、少年はその首をコクンと振り、うなずいた。  どうやら言葉は通じているようだ。  モニターには『あの時』の映像が繰り返し流れている。  少年は一言も喋らずに、その瞳に映像を焼付けんとモニターを眺め続けている。
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