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少年はまたあの映像を眺めていた、データを再生して、巻き戻す。その無限ループは終わらない。
再生、停止、巻き戻し。再生、停止、巻き戻し。再生、停止、巻き戻し。
何度も何度も繰返される映像。
閃光と灰燼が映り続ける映像。
あの時の映像。
途中で何度も停止させる。
動画から静止画へ。
まるで流れる時間を切り取るかの如く映像を停止させる。
何回も何回も……。
日が傾きだした頃、少年は画面から目を離し、台所へと向かった。
その姿を私はゆっくりと眺めていた。
少年が戻って来た。その手に包丁を携えて。
少年が茫然とこちらを振り向き刃を振り上げる。
少年の刃が適確に私の急所を狙って振り降ろされる。
私は間一髪その兇刃を避けた。
「一体何を!?」
「うるさい!うるさい!お前達が……お前達が!」
少年の言葉は言葉になっていない。
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