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しかし紅葉は座っても話だそうとはせずに、あぁ~だの、うぅ~だの言って頬を掻くだけだ。
俺は何がなんだかわからなくて、首を傾げて紅葉を見つめるしかない。変な緊張感のせいで手が汗ばんできたんだが。
「その・・・・・・ね、桔平って目立つのとか嫌いだよね?」
「へ? あぁ、うん」
「目立つようなものにはあんまり関わりたくないってタイプだよね?」
「そうだけど・・・・・・それがどうかしたのか?」
何故いきなりそんなことを? と思うが、紅葉は深く溜め息をついたのを見て、なんとなく嫌な予感がした。
「その・・・・・・私も嫌だったんだけど、学祭の・・・・・・その、バンドに参加することになっちゃって・・・・・・」
嫌な予感が、どんどん加速していく。というより、もうほとんど確信に変わりつつある。
「それでギターをやってくれる人がまだ見つかってなくて、桔平が弾けるの思い出したからなんとなく名前を出したら皆が勝手に名前を書いて提出しちゃって・・・・・・」
「つ、つまり?」
「桔平もバンドに参加することになったの・・・・・・しかも最後のプログラム」
言い終わってから、俺も紅葉も黙ってしまった。つまり、俺は知らぬ間に学祭の盛り上げ部隊ともいえるものに参加することが決定してしまったと。
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「何してんだアホ―――ッ!!」
「だから最初に謝ったんじゃない、バカ―――ッ!!」
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