《プロローグ》としての夢

2/3
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 片桐響介は、ふと暗闇の中に違和感を覚え、目を開けた。体が重く、身動きが取れない。噎せる程濃厚な汗の匂い――。響介の体はとても小さく、いくら足掻いても、唇を塞ぐ生暖かい《それ》から逃れることが出来ない。 (い、いや……気持ち、わる――) (誰か……) (誰か、助けて――)  悲鳴を上げようとしても、恐怖のあまり声が出ない。信じていた父親が性的な《におい》を醸し出して幼い息子に接触すると誰が思うだろう。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!