《プロローグ》としての夢
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片桐響介は、ふと暗闇の中に違和感を覚え、目を開けた。体が重く、身動きが取れない。噎せる程濃厚な汗の匂い――。響介の体はとても小さく、いくら足掻いても、唇を塞ぐ生暖かい《それ》から逃れることが出来ない。 (い、いや……気持ち、わる――) (誰か……) (誰か、助けて――) 悲鳴を上げようとしても、恐怖のあまり声が出ない。信じていた父親が性的な《におい》を醸し出して幼い息子に接触すると誰が思うだろう。
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