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私の前に現れたのは、先ほど私にこっぴどく罵声を浴びさせられたあの新人君である。
彼はタイミングがいいのか悪いのか、私が言い放った独り言に反応するかのようにBarの裏口、スタッフ専用のドアから出てきたのだ。
「あっ」
私は思わず声を出してしまった。
なんせ初対面で怒鳴りつけ、彼の驚き様を見てこれはバイト辞めるなと勝手に思い込んでしまうぐらい凹ませたのだから。
まさかこんなにも早くご対面することになるとは……
彼も声を発した私を見てまたも面白い反応を見せてくれた(笑)
『あっ……あっ……あ~~ぁぁぁ』
デジャブですか?
店で怒鳴った時と全く同じ反応。
いや…リアクションはそれ以上か。
彼に肩にかけていたショルダーバックは肩からずるりとおちて、足はガクガク、後退り。しまいにはそのバックに足を取られ、後ろへ倒れ込む。
悲惨なことに彼が倒れたところには店から出ただろうと思われるゴミ袋が散乱しており、その上に倒れ込んだ形になった。
簡易式ピタゴラスイッチかとツッコミを入れたいぐらい見事なものだった。
彼は私服だった。
バイトが終わり今から帰宅しようとしているところに不運なことに私とはちあわせてしまったのだ。
して、現状に戻ると。
私はそんなアホな新人君に大笑いをしてしまった。
「アハハハハ!!何してんの~マジでウケるんですけど~。」
『うわぁぁぁー殺されるー!!!』
と、私は完全に彼の中で殺人鬼化しているようだ………
「ちょっと!アンタ勝手に転んでおいてそれはないんじゃないの!?
ってか初対面の人に超~失礼じゃない?そんないちいちビビって、よくそんなんで日本で生きて行けたね?」
『うぁ~助けて下さい!!
なんでもします!なんでもしますから許して下さい!』
私はヤクザの取り立てか!?
過剰過ぎる反応にもはや冗談を通りすぎて怒りさえ覚えてしまう。
「………アンタまじでどんだけ失礼極まりないことをしてんのか分かってんのか?勝手にビビってんじゃねぇよ?コラ?」
ちょっと威圧的な態度になってしまった。
彼はそんな言葉に顔はもう悲惨な表情になり、
『助けてー!!』
と、倒れてた身体を起こし這いずるように逃げていく。
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