163人が本棚に入れています
本棚に追加
「もしもし」
「あっ、和也?」
「うん。どした?」
「…用がなくちゃかけたらダメないわけ?」
少し拗ねてるような口調が何だか可愛くて、頬が綻<ホコロ>ぶ。
「ふふ、別に用なくてもいーよ。
久しぶりに声聞けたしね」
「なんか可愛いね、今日」
「そ?」
普通の会話なのにそれが凄く大きなものに思えて、離れた距離にいることが急に寂しくなった。
「かーずや?」
暗い思考は、明るい呼び声で現実に帰ってくる
「ん?」
「会いてぇ…触りたい」
「‥ばか」
「電話じゃ物足りねぇ。
やっぱ、明日お前の誕生日だし、に一時帰国しちゃおっかな」
本当に?俺も会いたいよ
そう言えばいいのに、言えないのが俺の性格。
それを分かっていて、あえて俺に甘えさせようとしてるお前の気持ちも、俺分かってるんだよ?
だからこそ、言えない。
なにもかも捨ててまで選んだお前の道を、俺が邪魔するわけにはいかないよ。
最初のコメントを投稿しよう!