Kside

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「もしもし」 「あっ、和也?」 「うん。どした?」 「…用がなくちゃかけたらダメないわけ?」 少し拗ねてるような口調が何だか可愛くて、頬が綻<ホコロ>ぶ。 「ふふ、別に用なくてもいーよ。 久しぶりに声聞けたしね」 「なんか可愛いね、今日」 「そ?」 普通の会話なのにそれが凄く大きなものに思えて、離れた距離にいることが急に寂しくなった。 「かーずや?」 暗い思考は、明るい呼び声で現実に帰ってくる 「ん?」 「会いてぇ…触りたい」 「‥ばか」 「電話じゃ物足りねぇ。 やっぱ、明日お前の誕生日だし、に一時帰国しちゃおっかな」 本当に?俺も会いたいよ そう言えばいいのに、言えないのが俺の性格。 それを分かっていて、あえて俺に甘えさせようとしてるお前の気持ちも、俺分かってるんだよ? だからこそ、言えない。 なにもかも捨ててまで選んだお前の道を、俺が邪魔するわけにはいかないよ。
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