サナエ

3/4
前へ
/4ページ
次へ
中間や期末が近づくとこうやってサナエちゃんに勉強を教わる サナエちゃんは幼なじみだ 頭も良くて運動神経も良く、何より綺麗だ モテるのだろう、靴箱を開けるたびに手紙がはいっている そのたびに私の胸の中で何かが蠢くのだ   もう夕方なのだろう サナエちゃんの白い肌が朱に染められていく それはあまりに綺麗でずっと見ていたいほどだ   「もう下校の時間ね。帰りましょ」   嗚呼、時間は時に憎らしい ずっと見ていたいのに、勿体無い しなやかで華奢な指が筆記用具を片付けていく 私はその作業を見ているのが好きだ   「帰るわよ。急ぎなさい」   言われて慌てて片付けるフリをする ただ一緒にいる時間を稼いでるだけだ そのたびにユメってのろまね、と言われる 私はただはにかんだ笑顔を浮かべるだけだ
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加