サナエ

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教室を出て長いようで短い廊下を渡った先の靴箱についた サナエちゃんの靴箱には今日も手紙が入っていた 飽きないわね、といいながら手紙を鞄に入れた 帰ってちゃんと読んでるのだろう それが憎らしくて羨ましくて 今にも手紙を奪い取って、踏んづけて捨ててやりたい気持ちになった 靴を履いて校門を出ようとした時だ   「あのぉ、すみません…」   声のする方を振り返ると帽子を片手にした青年が立っていた 格好からすると野球部だろう なんでもサナエちゃんに話しがあるらしい どうせまた、告白だろう どうせまた、フラれるに決まってる   「悪いけど先帰ってて」 「うん、また明日ね」   野球青年を蹴飛ばしてやろうかと言う思いを押さえつつ、私は帰った
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