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あるとき我々は大きな破壊を経験した。
それは人と人とが相争って起こした、益のない、そしてすべてに害をなす破壊だった。
そして我々は、今大きな破壊を経験した。
大地が、風が、砂が。文明を飲み込み連れ去ってゆく天災だった。
世界は戸惑った。
小規模のコロニー――もはやそう呼ぶほうがふさわしい――を残して、ほとんどの市街が消え去った。
あるものは土の中へ。あるものは海の中へ、あるものは砂の中へ。
もちろん人間とて例外ではない。各国わつなぐラインが寸断されなかったのが奇跡とさえいえる状態だった。
人々は考えた。
これは、いばりすぎた人間への断罪なのだと。
人々は悔んだ。
反省し悔恨する彼らの上に、陽光は燦々と降りそそいだ。
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