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「昨日の約束通り、別れましょうか」
12月25日午前10時ジャスト。
待ち合わせ場所の噴水のある公園の一角で、白に近い灰色の空を見上げながら。君はいつもと変わらぬ笑顔を浮かべていた。
だと言うのに、その口から放たれた言葉は僕達の今をぶち壊すもので。
だと言うのに、僕はそれに対して何も言わずに俯くことしか出来なくて。
結局僕は、小さなえくぼを携えながら、昨日プレゼントした真っ白なダッフルコートに身を包んだ君が、優しい笑顔を保ったまま背を向けて去っていくのを黙って見ていることしか出来なかった。否、しなかった。
「明日がホワイトクリスマスにならなかったら、私達、別れましょうか」
そう君が言ったのは、昨日僕のアパートで開催したパーティー――食事会と呼ぶ方が正しいようなモノだったけど――を終えて、君を自宅まで送ろうか、と提案して拒否された直後。
とんでもなく冷たい外気が、露出した僕らの顔面に波状攻撃を加えてきているさなかのことだった。
その少し前まで大騒ぎ――とまではいかなくても、それなりにパーティーを満喫していたのだ。
僕は返せたのは、「へ?」という間の抜けた、言葉でもないただの音。
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