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「なーんて、冗談よ」
とでも言ってくれれば、凍りついた僕の小さな脳みそも正常になっただろうに。
君はただ「また明日」とだけ言って、食事会の時と寸分違わぬ表情で駆けていったのだ。
夕刊に載っていた天気予報では、明日は曇りだった。降水確率30%。
寒さと不安に震えた夜を過ごした。
そして今日。
冗談である可能性を信じて、どんよりとした曇り空の下を歩いて来たのだけれども。待っていたのは無常なる通告。
公園にたむろする他のカップル達は、会ってすぐに別れた僕達を、正確には置いてけぼりにされた僕を、一体どんな目で見てるのだろうか。
そんなことは別にどうでもいい。
変わったモノを遠くから眺めるような視線を送ってくる彼らに事情を説明したところで、「なんで引き止めなかったんだ」と言及されるだろうことはわかっているし、更にその理由を述べたところで、哀れむような蔑むような視線を向けられるだろうこともわかっている。
それは彼らにとっては些細なことで、僕にとっては彼女に声を掛けるのを躊躇う理由になるくらいに重要なこと。
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