ぼやけたホワイトクリスマス

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   実を言うと、彼女と前に会ったのは、昨日のパーティーを除くと半年は前のことになる。  遠距離恋愛なんかをしてる訳じゃない。僕のアパートは歩いて20分もすれば彼女の家に着いてしまうような距離にある。  仕事はしがない会社員。残業は高確率であるけど休日はちゃんと確保されている。忙しいなんて口に出せば、上司達からの袋叩きに合うだろう。  彼女は看護婦で、同じく休日がないなんてことはない。  お互いに、会ってデートして交わって、といったことに意味を見出だしてないだけ。  だからケータイ越しの会話だけで満足できる。それだけで、僕達が繋がっていることを確認できる。  いや、できていた、と言うべきか。  彼女は、そんな繋がりを確認することさえ無意味だと思ったのかもしれない。  でも繋がっていたくない訳じゃないから、ホワイトクリスマスにならなかったら、なんて賭け事じみた条件を出したのではないだろうか。  ……これが僕に考えられる、最も妥当な原因推量。  もはや周りを見渡したとしても彼女は見つけられないから、これが合ってるのかも確かめられないけど。
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