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夕刻せまる街中。
街の人々は仕事もそろそろ切り上げる頃で、近くの酒場からは大きな笑い声もしばしば聞こえる。
真っ赤に染まった太陽の光が穏やかな街並みを鮮やかに色付ける。
その街並みを旅人らしき二人の少年少女が辺りを見回しながら歩いていた。
「この街は色々な物が売ってるね!」
透き通った海の様な青い髪をした少年が声を弾ませ目を輝かせて言った。
「買い物も良いけど、まずは宿を見付けるのが先決よ。」
長く艶やかで吸い込まれそうな黒い髪を後ろに束ね、ポニーテールにした少女が少年をなだめる様に言った。
「それに、私達は…」
「あっ、あそこに宿屋があるよ。早く行こう!」
少女の言葉を遮り少年は宿屋の方へ走って行く。
少女はまるでいつもの事だというように、やれやれといった顔つきで溜め息をつき少年の後を追い宿屋に向かった。
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