菜緒

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菜緒

『小島!また間違ってる!やり直し!』 徹夜明けだからかイライラする。 昨日急な差し替えで徹夜になってしまった。 ファッション雑誌担当になり31にしては異例の速さで出世した。 ファッション雑誌は女だからと差別をうけない。 女だから良いのだ。 以前の週刊誌担当の時は女だからと悔しい思いも沢山してきた。 今は違う。あの時苦労したから好きなファッション雑誌に関われるのだ。 かと言って楽ではない。 自分より若くスタイル抜群肌は毛穴なんてない。同じ女として何故こんなにも違うのかと悲壮感に遮られる。 久美は『あれは宇宙人よ』 とあっけらかんとして言うが紙面ではなく毎日顔を合わせ直に見ている私にしてみれば彼女達の顔を見るたび自分が情けなくなる。 目と目を合わせればモデルの顔の小ささで落ち込み 柔らかい天使の輪を幾つも発する髪を見ては昨日見つけた白髪を思い出し落ち込む。 二十代はそんな事考える暇もなかった。容姿なんか気にする暇はなかった。 二年前ファッション誌に配属になり自分は女として何をしてきたのか本当に落ち込んだ。 彼女達に勝てる物は‥ ファッションセンスしかなかった。
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